鍼灸って何で効くの?
「鍼やお灸は体に良いって聞くけど、細い鍼を刺すだけでなんで肩こりや不調が治るんだろう?」
そう思われる方も多いのではないでしょうか。
鍼灸は「ツボ」という東洋医学の概念に基づく治療法ですが、近年ではその効果の裏付けとなる科学的メカニズムが次々と解明されています。単なる民間療法ではなく、現代医療の補完・代替医療として注目される鍼灸は、私たちの身体にどのような作用をもたらしているのか。
今回は鍼灸があなたの体で起こしている「痛みを消す働き」、「血を巡らせる働き」、「体を整える働き」、「治癒反応を利用する働き」の4つの秘密を分かりやすくご紹介します。

体の「治す力」を引き出す4つの不思議な働き
鍼灸治療が、特に肩こり、腰痛、頭痛といった「痛み」に強いのはなぜでしょうか? それは鍼の刺激があなたの脳に働きかけ、天然の強力な痛み止めを作らせるからです。
1. 痛みを抑える強力な作用:鎮痛メカニズムの科学
🚨 脳内モルヒネ(内因性オピオイド)の放出
鍼でツボを刺激すると、その信号は神経を通って脳に伝わります。すると脳内では「オピオイドペプチド」と呼ばれる強力な鎮痛物質の放出を促します。その代表がβエンドルフィンやエンケファリン、ダイノルフィンといった物質です。これらの物質は医療で使われるモルヒネに似た作用を持ち、痛みの情報が脳に伝わるのを抑えたり、痛みを感じるシステム全体を調整したりすることで鎮痛効果を発揮します。そしてこの作用はいわゆる「ランナーズハイ」にも関わる心地よさやリラックス効果にもつながり、痛みの軽減と同時に気分を良くする効果も期待できます。
🚪 痛みを感じる「扉」を閉める仕組み
また、鍼の刺激は「痛みを感じる扉」を閉める役割も果たします。
痛みの信号は脊髄という背骨の中にある神経の通り道を通って脳へ向かいます。鍼の刺激はこの通り道に「ちょっと待った!」をかける別の信号を送ります。この強い刺激が痛みの信号よりも優先され、痛みの伝達を妨げるのです。
つまり鍼灸による鎮痛効果は、体の中から自分で治す力を引き出している結果ともいえます。
2. 滞りを解消する:血流改善作用
血流の滞りは痛み物質の蓄積や酸素・栄養不足を引き起こし、肩こりや腰痛などの症状を悪化させる主要因です。
鍼灸は、この「血の滞り(うっ血)」を解消し、体を温め、回復を早める重要な働きをします。
💧 局所の血管をパッと広げる「軸索反射」
鍼が皮膚や筋肉のツボに届くと、刺激された神経はその周りの血管に対して「血管を広げなさい!」という指示をすぐに送ります。
この指示が伝わると、血管の壁からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)やサブスタンスPといった血管拡張作用のある化学物質が放出され、施術した部分の血管が一気に広がります。このため、鍼を刺した場所の周りがほんのり赤くなったり、温かくなったりするのを感じることがあります。
🚚 血液によるお掃除と栄養補給
血管が広がり血流が増えることで、次のような良いことが起こります。
疲労物質や痛み物質の排出:滞っていた老廃物が新鮮な血液によって一掃されます。
新鮮な酸素と栄養の供給:回復に必要な酸素や栄養がたっぷり届けられ、傷んだ組織の修復がスピードアップします。
お灸の温熱効果も、この血流改善を強力にサポートします。まるで大掃除をした後のように、体の中がスッキリとリフレッシュするのです。
血流が改善することで、筋肉の緊張が緩和され、疲労物質や痛み物質が速やかに排出され、酸素や栄養が供給されるため、組織の修復(自然治癒力)が促進されます。
3. 全身の調和を取り戻す:自律神経・内分泌・免疫調整作用
鍼灸の応用範囲が広い理由の一つは、その刺激が全身の重要なシステムである自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系に影響を与え、身体の恒常性(ホメオスタシス)の維持に貢献する点にあります。
🧘♀️ 自律神経バランスの調整
自律神経は心臓の動きや呼吸、消化器の働きなど、生命活動を無意識下でコントロールしており、交感神経(活動・緊張時に優位)と副交感神経(休息・リラックス時に優位)のバランスが重要です。
鍼刺激は特定のツボを介して脳(視床下部や脳幹)に伝達され、自律神経の中枢に働きかけます。特に副交感神経の活動を優位にさせる作用があることが多くの研究で示されており、これにより心身がリラックスし、ストレスの軽減、消化器機能の改善、不眠の解消などが期待できます(自律神経の記事はこちら)。
💊 ホルモンと免疫系の調整
自律神経の調整は、内分泌系(ホルモン)にも波及します。例えば、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な分泌を抑えたり、リラックスに関わるオキシトシンの分泌を促したりする作用が示唆されています。また、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の放出を調整することで、気分や意欲の改善にもつながります。
また、鍼灸治療は免疫機能にも影響を与えます。白血球やリンパ球の数、NK(ナチュラルキラー)細胞などの免疫細胞の活性を調整し、生体防御機能を高める作用が報告されており、病気になりにくい体質づくりや炎症反応の抑制に寄与すると考えられています。
4. 微細な“治癒反応”を引き出す
鍼を刺すと皮膚や筋肉にごく小さな「微細損傷」が起こります。これは悪いものではなく、身体にとっては 回復スイッチ になります。
免疫細胞が集まる
成長因子が分泌される
修復のための血流が集まる
こうした反応によって硬い組織や痛んだ部位が回復されていきますが、その回復の過程で症状が良くなるとされています。
言わば回復力を呼び覚ます治療と言えるでしょう。
まとめ:鍼灸は「あなた自身の治癒力」を高める治療法
鍼灸治療が効くメカニズムは、単なる気の流れの調整といった東洋医学の概念だけでなく、現代の神経科学、生理学、薬理学といった西洋医学的な科学的根拠によって裏付けられつつあります。
鍼灸の刺激は、
●脳内物質を放出し、痛みの経路をブロックする(鎮痛)
●血管を広げ、組織の修復を促す(血流改善)
●脳と神経系に働きかけ、全身のバランスを整える(自律神経・内分泌・免疫調整)
●あえて微細な傷をつけて、回復力を呼び覚ます(治癒反応)
これらの多岐にわたる複合的な作用によって、症状の緩和だけでなく、人が本来持っている自然治癒力・恒常性維持機能を高めることで、体質全体の改善に貢献しているのです。
鍼灸治療は副作用のリスクが低いという大きな利点も持ち合わせ、今後ますます科学的な解明が進むことでその活用範囲が広がっていくことが期待されています。
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